本文へスキップ
手取りナビ
メニュー

B型作業所の給料(工賃)はなぜ安い?平均月収・時給・手取りの実態

B型作業所の給料(工賃)はなぜ安いのかを解説します。厚生労働省のデータをもとに、平均月収約1万6,000円〜1万7,000円・時給換算約230〜250円という実態、A型との違い、税金や手取りの仕組み、障害年金との組み合わせ方まで整理。民間平均給与487万円との比較も掲載します。

キーワード: b型作業所 給料

B型作業所の「給料」は工賃|最低賃金が適用されない理由

B型作業所(就労継続支援B型)で利用者が受け取るお金は、法律上「給料(賃金)」ではなく「工賃」です。B型は事業所と利用者の間で雇用契約を結ばないため、労働基準法上の最低賃金は適用されません。これは違法でも特別扱いでもなく、障害者総合支援法に基づく福祉サービスとしての制度設計によるものです。

工賃の原資は、事業所が行う生産活動(企業からの委託作業や自社製品の販売など)の売上のみとされ、障害福祉サービスの報酬から工賃を支払うことは原則として認められていません。つまり、事業所の売上規模そのものが工賃水準を左右します。

B型作業所の平均月収と時給|時給換算で約230〜250円

厚生労働省の調査では、令和5年度の1時間あたり平均工賃は243円(修正後)とされています。月額では約1万6,000円〜1万7,000円が全国的な目安です。2025年度の地域別最低賃金は全国平均で時給1,050円を超えており、工賃はその4分の1程度の水準にとどまります。

なお、令和6年度報酬改定で平均工賃月額の算定方法(分母)が変更され、事業所によっては「2万2,000円台」といった数値が公表されることがあります。ただしこれは主に計算方式の変更によるもので、実際の受取額がそれだけ増えたわけではない点には注意が必要です。事業所ごとの差は非常に大きく、時給150円〜600円程度の幅で分布しているといわれます。

一般企業に勤めた場合の年収487万円から税金・社会保険料を引いた手取りの目安を解説">手取り感覚を知りたい方は、手取り早見もあわせてご覧ください。

業務タイプ別の工賃レンジ|高工賃事業所の特徴

工賃は、その事業所が何を生産しているかで大きく変わります。現場感覚として、おおむね次のようなレンジが目安です。

業務タイプ月額レンジの目安特徴
軽作業(封入・シール貼り・梱包)3,000〜15,000円初心者でも始めやすく事業所数も多いが、単価が低くなりがち
創作・ハンドメイド販売5,000〜25,000円作品の売上次第。販路を持つ事業所は安定しやすい
IT・データ入力・デザイン15,000〜60,000円スキル次第で高水準。PC業務に強い事業所が増加中
カフェ・飲食販売8,000〜30,000円立地や客数で変動。接客に向く方には魅力
企業からの委託加工(部品組立など)15,000〜50,000円取引先が安定している事業所は高水準
自社製品の製造・販売20,000〜100,000円超パン・焼き菓子・雑貨など。販売力のある事業所は突出

同じ「B型作業所」でも、軽作業中心か自社製品型かで月額が数倍違うことがあります。見学時には必ず工賃実績を確認しましょう。

工賃の「手取り」|税金・社会保険料は引かれる?

工賃は税法上、給与所得ではなく事業所得や雑所得に分類されるのが一般的です。年間所得が基礎控除などの非課税枠に収まるケースが多く、所得税や住民税が源泉徴収されないことがほとんどです。また、B型は雇用関係がないため、雇用保険や社会保険の加入対象外となり、保険料の天引きも基本的にありません。

ただし、事業所で提供される昼食代(1食300〜400円程度が目安)やイベント費などが工賃から実費控除されることがあり、「工賃の支給額=そのまま手取り」とはならない場合があります。昼食を毎日利用すると月6,000〜8,000円程度が差し引かれ、手元に残る現金が1万円を切ることもあるため、見学時に控除のルールを確認しておくことが大切です。

B型の工賃と一般企業の給与を比べると|平均給与は487万円

国税庁の民間給与実態統計調査(令和7年分)によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は487万円です。男性は597万円、女性は342万円で、正社員(正職員)は559万円、正社員以外は210万円となっています。

一方、B型作業所の工賃は月1万6,000円前後が目安とされ、単純計算では年間20万円弱です。一般企業の正社員以外(210万円)と比べても、金額の桁が大きく異なることがわかります。ただし、B型の工賃は「労働の対価」ではなく「生産活動の成果配分」であり、単純な比較はできない点を理解しておきましょう。

自分の年収が世間と比べてどの位置にあるか気になる方は、年収指数で確認できます。

工賃だけでは生活できない|障害年金・生活保護との組み合わせ

月1万円台の工賃だけで家賃や光熱費を賄うのは現実的ではありません。B型利用者の生活は、障害基礎年金や生活保護、家族の支援などを組み合わせることが前提となっています。

目安として、障害基礎年金は2級で月約6万9,000円前後、1級で月約8万6,000円強(いずれも2026年度ベースの概算)とされ、これに障害年金生活者支援給付金(月5,000円台)が加わるケースがあります。生活保護を受給している場合は工賃が収入として認定されますが、一定額(月1万5,000円前後が目安)までは勤労控除として手元に残せる仕組みがあります。

実家暮らしなら生活は比較的安定しやすい一方、単身の賃貸暮らしは家計が非常にタイトになりがちです。障害年金や生活保護の取扱いは個人の状況や自治体によって異なるため、必ず自治体の障害福祉窓口や相談支援専門員に確認してください。

工賃を少しでも増やすための3つのポイント

  1. 事業所別の平均工賃実績を確認する:多くの自治体が管内事業所の工賃実績を公表しています。見学前にチェックし、高めの事業所を選ぶのが確実な自衛策です。
  2. 成果報酬・スキル手当のある事業所を選ぶ:一律の日当制ではなく、作業量や売上に応じて工賃が上乗せされる事業所なら、努力次第で月3万〜5万円台を狙える可能性があります。
  3. 通所日数・時間を段階的に増やす:体調が安定してきたら週2日→3日→4日と増やすことで、工賃の底上げが期待できます。無理は禁物で、支援員と相談しながら進めましょう。

B型作業所は、体調が不安定な時期でも無理なく通えるセーフティネットとしての役割を持っています。「工賃を稼ぐ場」と「リハビリ・居場所」のどちらを重視するかを整理したうえで、A型作業所や一般就労へのステップアップも視野に入れて計画を立てていくことが大切です。関連する記事は記事一覧から探せます。

よくある質問

B型作業所の工賃から税金や保険料は引かれますか?

工賃は税法上、給与所得ではなく事業所得や雑所得に分類されるのが一般的です。年間所得が非課税枠に収まることが多く、所得税・住民税が天引きされないケースがほとんどです。雇用保険や社会保険の加入対象外のため保険料の天引きも基本的にありません。ただし昼食代やイベント費が実費控除されることがあるため、支給額がそのまま手取りにならない場合があります。控除のルールは事業所ごとに異なるため、見学時に確認しましょう。

工賃が増えると障害年金や生活保護は減額されますか?

障害基礎年金には一般的に労働収入による所得制限がないため、工賃が増えても年金がそのまま減額されることはないとされています(20歳前傷病による場合は一定の所得制限があります)。一方、生活保護を受給している場合は工賃が収入として認定されますが、一定額までは勤労控除として手元に残せる仕組みがあります。具体的な取扱いは個人の状況や自治体で異なるため、福祉事務所に確認してください。

B型作業所からA型作業所や一般企業へステップアップできますか?

可能です。B型の目的の一つは、一般就労等への移行に向けた訓練にあります。通所を通じて生活リズムが整い、安定して通える体力がついた段階で、サービス管理責任者や相談支援専門員に相談し、A型事業所への移籍や就労移行支援の利用、一般就労を目指す方は少なくありません。A型は雇用契約を結ぶため最低賃金が適用され、月8万〜10万円前後が目安とされています。

B型作業所の工賃は毎月同じ金額ですか?

変動するのが一般的です。生産活動の売上、自分の通所日数や作業量、季節性のある業務の状況などによって、月ごとに数千円〜1万円程度変動することがあります。年間でならすと安定するケースもありますが、月単位で家計を厳密に組むのは難しい点を理解しておきましょう。

工賃の水準が高い事業所を見つけるにはどうすればよいですか?

多くの自治体が、管内事業所の前年度の平均工賃実績をウェブサイトなどで公表しています。まずはその一覧で高めの事業所を絞り込み、見学時に業務内容や控除のルールを確認するのが現実的です。軽作業中心か自社製品型か、成果報酬制を導入しているかによっても工賃水準は大きく変わります。

参考情報

関連ガイド

本記事の金額は公開統計や一般的な試算に基づく目安です。実際の手取りは社会保険・税法・扶養・居住地により異なります。重要な意思決定の前に、最新の公式情報や専門家の助言を確認してください。